2013年3月31日日曜日

春休み

銀座の本講座が一週間のお休みだったので ひさしぶりの投稿です。




訪れてみたいけれど なかなか時間を作れなかったり タイミングが取れなかったりで
未だ行くことが実現できていない美術館、 みなさんもありますよね。



この一週間のお休みを使い 子どもたちを連れ箱根一泊旅行に急遽行くことにしたので
あの美術館に行ける!!と意気込んで東京を発ちました。





そうです、平賀敬美術館です。
小学館アカデミー絵画倶楽部の方ならご存知の方も多いと思いますが
我が教室の講師、平賀太郎先生ご実家であり お父様の美術館です。

www.hiraga-key-museum.com/


行かれた方からのお話しを伺うと
もちろん絵画も そうですが 情緒ある建物と おもてなしが素敵なお母様、そして温泉!が魅力の美術館とのことで それはそれは期待に胸を膨らませて箱根に到着!!



しかしながら子どもを連れてきた手前、まず一日目は子どもを楽しませてあげましょう。と言うことで登山列車、ケーブルカー、ロープウェイなど乗り物を乗り継ぎ大涌谷へ。
生憎この日は花冷えか とても寒い日で辺り一面 霧に包まれていて 
谷の あの迫力を味合わせてあげることが出来ませんでしたが 少し山登りをした子供たちは名物のゆで卵にかぶりついておりました。



黄泉の国へ向かうかのようなロープウェイ



長女は4つも完食!



その後、寒空の中 彫刻の森美術館の

子ども向けのアートで遊ばせ一日目は終わり さあ、明日は平賀美術館!!
と冷え切った身体を温泉で温め就寝。
霧の中の長女とバッファロー



が!!深夜、一歳の長男の様子がおかしい。。。
身体を触ると アチッ!!高熱。。。
箱根の山の上には夜間診療、当番医などなく考えに考えた末、救急車を呼ぶことに。。
救急車が大好きな息子は乗り込んだ瞬間、『きゅうきゅうしゃ!!』と一言。
テンション上がっちゃうかな と心配はよそに やはり高熱のため そのまま就寝。
私は小田原の病院までの30分、長男を抱えたまま朝靄の箱根の山中をボーッと眺めながら降りて行きました。
幸い、点滴で回復傾向が診られたので入院などせず自宅に帰宅となりましたが
あ、あ、あれ⁈
私の目的の美術館!!行ってない。。






今回は もちろん子どもの体調優先ですが
次の機会には必ず行くぞ!!
風邪をひきにくい夏を狙って計画をたてることにします!



春休みのトラブル旅行記、
今回の担当は銀座校講師、土屋さやかでした。お付き合い、ありがとうございました。







2013年3月24日日曜日

千鳥ヶ淵の夜桜

銀座校講師・田巻です。
今日は仕事終わりに、千鳥ヶ淵へ。
妖しいほどのピンク色。
ソメイヨシノってこんなに色を感じる花だったろうか・・・






・・・
ライトアップ用の照明に桃色のセロファンが半分かけられておりました。




この、半分掛けで白と桃色、2種の光が生み出されています。

かの有名なボート乗り場付近はピンク色でしたが、
そこから離れると鈍いイエローの照明に変わっていました。

光だけでなく、色による演出も施されていたのですね。
見る人の目をここまで意識し、創作されているのだとは思いもよりませんでした。

イメージを増幅し、印象を強く記憶や心に定着させる光の緩急。
自ら種明かししてしまったあとでも、まだ夢の中にいるような幻想的な夜の散歩でした。


2013年3月22日金曜日

愛用品

銀座校すずきです。

料理やスポーツでもそうですが、
絵でも道具を揃えるのは楽しみのひとつです。


今日は私の愛用するエスキース(下絵)やスケッチのノートをご紹介します。


ーMoleskineモレスキンのノート

ピカソやゴッホ、ヘミングウェイも愛用した
伝説的ノートブック、というのだから

描いている時の気分は現代を飛び越え、
その時代にタイムスリップしています(単純!)


大事な方からいただいた思い出のノートでもあります。

主にエスキース(下絵)に使用



モレスキン 水彩画用ノートブックも購入しました。
昨年の谷中、根津、上野のスケッチ会で使ってみましたが
使い心地は良好。
手のひらに収まるサイズも気に入っています。


上野公園でスケッチ。思い出すなぁ。


今度「真っ白なモレスキン ホワイトノートブック」
が発売されるそうですね!
かなり気になります(・・・が、汚しそう)

何にしろ、愛でるように使える道具というのは
制作の意欲が湧きますね。





2013年3月21日木曜日

さんぽ

  銀座校下工垣です

  今、100号の油彩を2点制作中です


制作に煮詰まると散歩をします。
学生時代の頃から、
頭の切り替えをしたいときや、
考え事をするときなどは歩く、
というのが
いつのまにか、私の習慣となっています。




                                               使い始めて20年になるベニヤ板のパレットたち




茨城の実家にいた時は、
あたり一面田んぼの風景の中をひたすら歩きながら
作品のイメージを膨らませていました。

東京で一人暮らしを始めてからも、よく近所を散歩します。(しょっちゅう迷子になります)
そして、都会の道路の上を歩くときと、田んぼの土の上を歩くときとでは、
発想が違うものになるなあと感じています。

その時の天気や、見える景色によってもぜんぜん違くなるし、
食べたものや、人と話をしたことなど、
その時に触れたものすべてが
作品に影響していくことがとても面白いです。


毎日出会うものによって
日々自分の中身が変化していくことを感じられることが
私にとって絵を描く魅力の一つです。



            





2013年3月20日水曜日

講師の展示のお知らせ


桜もあっという間に咲き始めました!
花粉で鼻がむずむずしていますが、春の到来に心もわくわくうきうきしています。


銀座校講師の坂田あづみが

日本橋高島屋でグループ展に参加しております。
Recto emotion ~刺繍表現に見る今日の作家たち~
日時:2013年3月20日(水)〜4月2日(火)まで
6F美術画廊

高島屋史料館が収蔵している古い刺繍作品と
現代の刺繍をつかって作品を制作している作家七名の展示です。
工芸としての刺繍ではなく、美術作品としての刺繍で展示をしていただくのは
大変うれしいです!

高島屋は呉服屋からスタートして明治時代は海外にも布や刺繍作品を輸出していた経緯があり
布や糸をオリジナルのアイコンとして大切にしているそうです。
今回はその歴史もからめた展示だそうです。

面白い企画だと思いました。

お近くにいらっしゃる事があれば是非ご覧下さいませ。


2013年3月19日火曜日

5月から新しいクラスがスタートします


皆様 こんにちは!
小学館アカデミー絵画倶楽部事務局の石川です。

今年は例年より花粉が大変多く飛散しているようですね。
小学館アカデミー内でも花粉対策に苦労している社員、講師も多くいるようです。

私自身も1月末から花粉対策をしておりますが今年の花粉はなかなかのものです…。

毎年2月、3月、4月は銀座校、宇都宮校の教室の新規開校に向け
1年で一番忙しい時期になりますのでこの時期に
スギ花粉、この後にひのきの花粉と続くので日々
花粉対策をしながら5月開校に向けあわただしい日々を送っております。

そんな中、本年度も多くの方に、「絵を描く愉しみ」をお届けしてまいりたい
との思いで講師・スタッフ一同、努力して参ります。

どうぞ今後もよろしくお願いいたします。

2013年3月18日月曜日

桜咲く

こんにちは。銀座・恵比寿校講師の工藤です。


今日は恵比寿校の帰りに絵の資料を探しがてら上野公園に行ってみました。

久々に公園を散策してみると、すっかり桜も咲き始め、春らしい陽気でとても気持ちのいいものです。



いい資料も見つかったことだし、今日は絵の制作もはかどりそうです。




2013年3月17日日曜日

春の味覚

宇都宮校講師、小栗です。

だいぶ暖かくなり春らしい薄手のコートで外出するようになりました。



そんな陽気につられ自宅の庭も 春の花々が一斉に咲き出しました。

       
         まずは蠟梅

 白梅は、もう満開です。


   そしてメインの ふきのとう
   
   天ぷらにすると とっても美味しい。

   五感にダイレクトにうったえかけてくれます。
 
   だいぶ花が開いてしまったものもありましたが

   これから蕾を掘り起こして、春の味覚を満喫し

   たいと思います。






そしてこちらは宇都宮校の教室からの風景です。

先日、去年11月から始まった新入門クラスの授業で透視線の勉強をしました。

何気なく見ている景色にも透視線が入っているのを確認すると

生徒さんは、「ここにも透視線が!」と はかり棒を持って大興奮。



3階に教室があるので、向かいのビルの3階部分にアイレベルがきています。











2013年3月16日土曜日

呼吸


こんにちは。銀座校の植松です。

春らしい暖かい日が増えた今日この頃ですが、
冬眠から目覚めたばかりの熊のように毎年この時期には
外に出て歩き回ったり、凝り固まった体を動かしたくなります。

スポーツは基本的には苦手な私ですが、YOGA だけは
密かにずっと身近なものとして親しんできました。
YOGAとの出会いは以前旅行をしたインドででした。

広い場所も取らず気軽にできて、気分を切り替えるのに
とても有効なので思い立った時に自宅でマットを敷いて
呼吸を整えたりポーズをとってみたりしているのです。

     
ヨガ、というと体が柔らかくないとダメだとか、ポーズを練習する
スポーツだと勘違いをされがちなのですが、ヨガはズバリ「呼吸」です。 
呼吸は生きている人間なら誰でもしていることなので、
誰にでもできるスポーツと言えるのではないかと思います。

また、ヨガにはポーズを取る前の段階があり、日常生活での心構え
「ヤマ 」、「ニヤマ」というものがあり、とても東洋的 (仏教的)
興味深いものです。(ヤマ、ニヤマの詳細は長くなりそうなのでまた今度にさせてください!)

ヨガは体を動かすだけではなく、自分の内側から出てくる声に耳を
傾けたり、集中力を高めることができたり、物事を客観的かつ冷静に
見られるようになる気がします。 絵を描く上でもとても役立つ
ツールだと言えるのではないかと思います。

みなさまも気が向いたらご自身の「呼吸」を意識されてみるのも
よいのではないでしょうか。   



2013年3月15日金曜日

図書館通い

本日の担当は銀座校の五十棲です。

知識欲、とでも言うべきものが、ある日、急におさまりがつかなくなって図書館に通い始めました。

興味の向く先は様々。
絵画技法の本に思った程には集中できなかった一方で、美術史は面白く、しばらく関連する本を連鎖的に読みました。料理や掃除といったすぐに現実に活かせるものにも、文明論、読者論や人称論、というような世のどこにあるのか判りづらいものにも手を伸ばしています。

うれしいのは、それまで知らなかった書き手や分野に出会うこと。ひとたびこれは、と思うものを見つけると、あれもこれも読みたいと逸る気持ちを抑えて、遅読の私は一冊ずつ手にとります。
ただ知らない音楽を聴くように、様々な道を通り過ぎるように本を開いては、閉じる。心地好い音楽もあれば息詰まる音楽もあり、ややこしい道も、すいすい歩ける道も。
その繰り返しの中で、少しずつ充足していく気がします。
とはいえ、読み終えると、おそらくは、忘れていく部分の方が多いのですが…。記憶どころか、理解できているかも定かではありません。


木陰の沈丁花も開く準備を始めた



知識欲と書きましたが、それが満たされた果てには何があるのでしょうか。
本を読むようになって気付いたのは、そもそも自分の「興味のある分野」がいかに狭かったかということです。図書館通いを始めて間もなく、書架の間で、検索端末の前で、自分の「興味」の持ちふだはあっという間になくなりました。


いま関心があるのは数学。 数字に弱い私から最も遠い分野で、関心があります、なんてここに書くのは躊躇われるし、とてもはずかしいですが。



ミモザはすでに盛り

物事には理由がある、ということを最近考えるようになりました。ぱらぱらと、点で存在しているかに見えていたものが、ある時線として繋がり、ぎゅっと面で押し出すように物事を動かす。理由の果ての必然。結果。ではそれが正しいのか、などと。
数式の向こうに「解」があるということにひかれます。絵にも日々の生活にも、明確な答えは見付かりづらいから、といったら耽美的に過ぎるでしょうか。

でも数学のお勉強はこれからなので、難しいことは聞かないで下さいね。

大好きなすずかけの木

2013年3月14日木曜日

趣味からの出逢い


宇都宮校の渡辺です。



今日はホワイトデーですね。



素敵なお返しをちょっぴり期待しながら

絵本画家ワイルドスミスの真似をして絵を描いてみました。


来月誕生日の友人にプレゼントしようと思っています。


画材:画用紙(ハガキサイズ)・アクリルガッシュ・オイルパステル
























話しは変わりまして、

趣味のベリーダンスのお話をしたいと思います。


私は元々惚れやすいタイプではあるのですが、

偶然見かけたプロダンサーのgumiko先生に魅せられてはじめました。



妖艶でしなやかで美しく小柄で可愛く豊満で・・・・・・



それはまさに私に欠けてるもの・・・



「ステキ!!」



完全に心奪われました。




gumiko先生は、

私より3つも若く

ベリーダンサー&インストラクター、ヒップホップインストラクター、舞台、CM、TV、雑誌、

プロモーションイベント等で大活躍している方です。


よろしければアメブロ「ダンサー☆gumiko」で検索してみていただけたらと思います。



私はgumiko先生に出会うまでベリーダンスを知りませんでした。



何がきっかけになるかわからないものですね。


gumiko先生に出逢ってなかったらベリーダンスをやっていなかったと思います。


私が所属しているgumiko先生の教室【Bellyhouse】中央gumiko先生、右隣渡辺


























出逢いとは不思議なものです。


ベリーダンスは総合芸術だと思います。



ダンスはもちろんのこと衣装、メイク、音楽、照明など色々なものが合わさって

はじめて完成するのでとても奥深いです。


舞台メイクを学んだり衣装を縫ったり…ダンス以外にも学ぶものがたくさんありワクワクします。


趣味から出来た友達は下は小学生から上は50歳代までと年齢も職業も様々ですが


自然と似た者同士が集まるのか打ち解けるのも早くて

レッスン以外でもプライベートで食事をしたり飲んだり今では最高の仲間です。


会員様達を見ていても毎回そう思います。


同じ絵画という趣味で出逢いどんどん絆が深くなっていて素敵だなと思います。


会員様同士で授業後に「これから一緒にランチに行こう」などのお話を耳にしますと、

なんだか私まで嬉しくなります。


また、こんなにたくさんの人がいる中、

私と会員様との出逢いも奇跡的なことですので大切にしていきたいです。


私のクラスに嫌がらず通ってくださってること、とても感謝の気持ちでいっぱいです。


改めてありがとうございます!!






来月、憧れのgumiko先生主催のイベントが行われます。



北関東最大級のベリーダンスのお祭りです。


私もこれまで色々なダンスイベントにダンサーとして出させていただいたのですが

今回はすべての舞台照明を担うことになりました。


仲間とひとつの作品を作り上げるのは大変だけどとても楽しいです。

(実はその後の打ち上げのビールが一番楽しみだったりするのですが…。)


有名なプロダンサーをゲストに迎え、

豪華なフィスティバルとなっておりますのでよろしければぜひ足をお運びください。




【栃木ベリーダンスフェスティバル2013~oriental night~】

4/6(土)
18:00開場
18:30開演

チケット2000円
当日2500円

佐野市文化会館(小ホール、300席)

http://www.sano-culture.jp/culturehall/access/index.html

ゲストダンサー 
Farasha、
FODSS舞踊団

ゲストミュージシャン 平井ペタシ陽一

出演
gumiko、Bellyhouseダンサーズ、その他、全国の教室から様々なダンサーが出演(エントリー制)


交通アクセス 
栃木県佐野市浅沼町508-5

お車の場合
東武佐野線 佐野市駅より約5分
JR両毛線・東武佐野線 佐野駅より約5分
東北自動車道・佐野インタ-から約10分
北関東自動車道・田沼インタ-から約15分

公共交通機関の場合

関東バス「佐野駅」より「佐野市文化会館前」下 車 (所要時間約4分)

関東バス:http://www.kantobus.co.jp/route/

チケット申込み、お問い合わせは
b.h.gumiko@gmail.com
(gumiko) 

までお願い致します。




次回は出展間近の油絵作品の制作についてお話出来たらいいなぁと思っています。


気が変わってしまったら申し訳ありません。



それではまた。

2013年3月13日水曜日

便利なもの



本日担当いたします吉澤です。

今日は暑いくらいに暖かい日でしたが、風も強く街路樹が大きくゆれていて心配になるほどでした。



そんな今日、恵比寿校では透視図法の授業を行いました。
一点透視図法を利用して高山の風景を描いています。





みなさんよく観察されていて いい形がとれているので、来週の仕上がりが楽しみです。



私はたしか高校の美術で一点透視図法を教わりました。
その時は 「ふ~ん…」という感じでしたが、月日が経ったあるとき ビル街を歩いていて、 ふと「あぁ これが一点透視なんだ。なるほどねー おもしろいなぁー」と感じたことを覚えています。

知識として覚えたことを実感できるまでに 時間がかかることもあるのだなと思っています。


透視図法は難しそうで…という方もいらっしゃいますが 、「上手く形がとれない」「なにか変だな」という時に助けてくれ便利なものですので 知っておいて損はありません。

描きたい!!と思う街並みなどの風景に 生かしてみてはいかがでしょうか。




2013年3月12日火曜日

卒業式


こんにちは。
銀座校講師の南です。

講師によってそれぞれですが、絵画倶楽部以外でも仕事をしている場合があります。
私もその一人。デザイン専門学校で教えています。
実は今日は彼らの卒業式なのです。(ちなみに私は銀座校の授業があるので出席できません…)
彼らは今、晴がましい気分と寂しさが入り交じった気持ちで一杯でしょう。

皆さんご承知の通り、昨日で震災から2年の月日がたちました。
2年前、この専門学校では卒業式が取り止めになりました。
式典はできませんでしたが、担当した学生に激励メールを送ったことをよく覚えています。

そして最近感銘を受けた、2年前のある高校の校長の送る言葉をご紹介したいと思います。
長々文ご勘弁を。


卒業式を中止した立教新座高校3年生諸君へ。

 諸君らの研鑽の結果が、卒業の時を迎えた。その努力に、本校教職員を代表して心より祝意を述べる。また、今日までの諸君らを支えてくれた多くの人々に、生徒諸君とともに感謝を申し上げる。

 とりわけ、強く、大きく、本校の教育を支えてくれた保護者の皆さんに、祝意を申し上げるとともに、心からの御礼を申し上げたい。

 未来に向かう晴れやかなこの時に、諸君に向かって小さなメッセージを残しておきたい。

 このメッセージに、2週間前、「時に海を見よ」題し、配布予定の学校便りにも掲載した。その時私の脳裏に浮かんだ海は、真っ青な大海原であった。しかし、今、私の目に浮かぶのは、津波になって荒れ狂い、濁流と化し、数多の人命を奪い、憎んでも憎みきれない憎悪と嫌悪の海である。これから述べることは、あまりに甘く現実と離れた浪漫的まやかしに思えるかもしれない。私は躊躇した。しかし、私は今繰り広げられる悲惨な現実を前にして、どうしても以下のことを述べておきたいと思う。私はこのささやかなメッセージを続けることにした。

 諸君らのほとんどは、大学に進学する。大学で学ぶとは、又、大学の場にあって、諸君がその時を得るということはいかなることか。大学に行くことは、他の道を行くことといかなる相違があるのか。大学での青春とは、如何なることなのか。

 大学に行くことは学ぶためであるという。そうか。学ぶことは一生のことである。いかなる状況にあっても、学ぶことに終わりはない。一生涯辞書を引き続けろ。新たなる知識を常に学べ。知ることに終わりはなく、知識に不動なるものはない。

 大学だけが学ぶところではない。日本では、大学進学率は極めて高い水準にあるかもしれない。しかし、地球全体の視野で考えるならば、大学に行くものはまだ少数である。大学は、学ぶために行くと広言することの背後には、学ぶことに特権意識を持つ者の驕りがあるといってもいい。

 多くの友人を得るために、大学に行くと云う者がいる。そうか。友人を得るためなら、このまま社会人になることのほうが近道かもしれない。どの社会にあろうとも、よき友人はできる。大学で得る友人が、すぐれたものであるなどといった保証はどこにもない。そんな思い上がりは捨てるべきだ。

 楽しむために大学に行くという者がいる。エンジョイするために大学に行くと高言する者がいる。これほど鼻持ちならない言葉もない。ふざけるな。今この現実の前に真摯であれ。

 君らを待つ大学での時間とは、いかなる時間なのか。

 学ぶことでも、友人を得ることでも、楽しむためでもないとしたら、何のために大学に行くのか。

 誤解を恐れずに、あえて、象徴的に云おう。

 大学に行くとは、「海を見る自由」を得るためなのではないか。

 言葉を変えるならば、「立ち止まる自由」を得るためではないかと思う。現実を直視する自由だと言い換えてもいい。

 中学・高校時代。君らに時間を制御する自由はなかった。遅刻・欠席は学校という名の下で管理された。又、それは保護者の下で管理されていた。諸君は管理されていたのだ。

 大学を出て、就職したとしても、その構図は変わりない。無断欠席など、会社で許されるはずがない。高校時代も、又会社に勤めても時間を管理するのは、自分ではなく他者なのだ。それは、家庭を持っても変わらない。愛する人を持っても、それは変わらない。愛する人は、愛している人の時間を管理する。

 大学という青春の時間は、時間を自分が管理できる煌めきの時なのだ。

 池袋行きの電車に乗ったとしよう。諸君の脳裏に波の音が聞こえた時、君は途中下車して海に行けるのだ。高校時代、そんなことは許されていない。働いてもそんなことは出来ない。家庭を持ってもそんなことは出来ない。

 「今日ひとりで海を見てきたよ。」

 そんなことを私は妻や子供の前で言えない。大学での友人ならば、黙って頷いてくれるに違いない。

 悲惨な現実を前にしても云おう。波の音は、さざ波のような調べでないかもしれない。荒れ狂う鉛色の波の音かもしれない。

 時に、孤独を直視せよ。海原の前に一人立て。自分の夢が何であるか。海に向かって問え。青春とは、孤独を直視することなのだ。直視の自由を得ることなのだ。大学に行くということの豊潤さを、自由の時に変えるのだ。自己が管理する時間を、ダイナミックに手中におさめよ。流れに任せて、時間の空費にうつつを抜かすな。

 いかなる困難に出会おうとも、自己を直視すること以外に道はない。

 いかに悲しみの涙の淵に沈もうとも、それを直視することの他に我々にすべはない。

 海を見つめ。大海に出よ。嵐にたけり狂っていても海に出よ。

 真っ正直に生きよ。くそまじめな男になれ。一途な男になれ。貧しさを恐れるな。男たちよ。船出の時が来たのだ。思い出に沈殿するな。未来に向かえ。別れのカウントダウンが始まった。忘れようとしても忘れえぬであろう大震災の時のこの卒業の時を忘れるな。

 鎮魂の黒き喪章を胸に、今は真っ白の帆を上げる時なのだ。愛される存在から愛する存在に変われ。愛に受け身はない。

 教職員一同とともに、諸君等のために真理への船出に高らかに銅鑼を鳴らそう。

 「真理はあなたたちを自由にする」(Η ΑΛΗΘΕΙΑ ΕΛΕΥΘΕΡΩΣΕΙ ΥΜΑΣ ヘー アレーテイア エレウテローセイ ヒュマース)・ヨハネによる福音書8:32

 一言付言する。

 歴史上かってない惨状が今も日本列島の多くの地域に存在する。あまりに痛ましい状況である。祝意を避けるべきではないかという意見もあろう。だが私は、今この時だからこそ、諸君を未来に送り出したいとも思う。惨状を目の当たりにして、私は思う。自然とは何か。自然との共存とは何か。文明の進歩とは何か。原子力発電所の事故には、科学の進歩とは、何かを痛烈に思う。原子力発電所の危険が叫ばれたとき、私がいかなる行動をしたか、悔恨の思いも浮かぶ。救援隊も続々被災地に行っている。いち早く、中国・韓国の隣人がやってきた。アメリカ軍は三陸沖に空母を派遣し、ヘリポートの基地を提供し、ロシアは天然ガスの供給を提示した。窮状を抱えたニュージーランドからも支援が来た。世界の各国から多くの救援が来ている。地球人とはなにか。地球上に共に生きるということは何か。そのことを考える。

 泥の海から、救い出された赤子を抱き、立ち尽くす母の姿があった。行方不明の母を呼び、泣き叫ぶ少女の姿がテレビに映る。家族のために生きようとしたと語る父の姿もテレビにあった。今この時こそ親子の絆とは何か。命とは何かを直視して問うべきなのだ。

 今ここで高校を卒業できることの重みを深く共に考えよう。そして、被災地にあって、命そのものに対峙して、生きることに懸命の力を振り絞る友人たちのために、声を上げよう。共に共にいまここに私たちがいることを。

 被災された多くの方々に心からの哀悼の意を表するととともに、この悲しみを胸に我々は新たなる旅立ちを誓っていきたい。

 巣立ちゆく立教の若き健児よ。日本復興の先兵となれ。

 本校校舎玄関前に、震災にあった人々へのための義捐金の箱を設けた。(3月31日10時からに予定されているチャペルでの卒業礼拝でも献金をお願いする)

 被災者の人々への援助をお願いしたい。もとより、ささやかな一助足らんとするものであるが、悲しみを希望に変える今日という日を忘れぬためである。卒業生一同として、被災地に送らせていただきたい。

 梅花春雨に涙す2011年弥生15日。
立教新座中学・高等学校 校長 渡辺憲司

(立教新座中学・高等学校HPより抜粋 http://niiza.rikkyo.ac.jp/news/2011/03/8549/


若者だけでなく、いくつになっても新しい船出というのは素晴らしいものです。
亡くなった多くの人々の冥福を祈るとともに、新しいチャレンジをし、彼らの分まで人生を謳歌してほしいと願っています。

南正彦 「帰還」2012

2013年3月11日月曜日

地味ですが・・・

みなさまこんにちは。今日の担当は福井です。

昨日の暖かさから一変。今日の銀座は冬に戻ったようでした。


さて、今日は授業がありました。作品展制作に入って2週目。
先日まで構図の勉強をしていたので、今年の作品展では特にその辺りを考えて進めていこうと考えています。
今日は構図を練って、下書きをしたものをトレースするのが主な内容です。
作品をきれいに仕上げたい時には、トレースが有効です。

アカデミーの会員の皆様には最初の頃にやって頂いた作業ですね。そう、模写の時にやったあれです。

私も自分の作品で、ちょうどそんな作業をしていたところです。こんな感じ↓

写真は、裏に粉を塗ってカーボン紙状にしているところです。
地味な作業なのですが、大切な工程です。

皆様も是非やってみて下さいね。


2013年3月10日日曜日

立石百景(葛飾立石)その1   [立石様]


前回のブログで、立石の人間模様を紹介していくことを決めたのだが、
立石百景を綴るにあたって、まずは地名の由来となった『立石様』のことを
ここで書かずばなるまい。


【立石】というのは、道しるべや墓標などとして立てた石の意味があるが、葛飾立石にあるその石は、1400年頃に文献に登場、
江戸時代には『冬に縮んで夏に膨張する』珍奇なものとして噂の石を実際何度か見に行ったが、
子供の遊ぶ姿を一度も目にしたことのない小さな公園の奥に鳥居と小さな囲いがあり、 その真ん中に、高さ2㎝くらいの申し訳程度頭をのぞかせた石がそこにある。




もともとは道しるべとも古墳とも噂されるこの石は、
『江戸名所図会』の挿絵を見る限りでは、現在のものよりも大きいが、さらに地上高く露出した “立っている石” であったらしい。







1800年頃、住民がこの石の深さを確かめようとしたが、いくら掘っても底が現れず、
さらには関係者の間で疫病が発生したため計画を中止し、祟りを鎮めるために、
立石稲荷神社の立石様として祀ることとなった信仰のある石だが…


なぜ小さくなったのだろうか?


調べによると、土砂の堆積や地盤沈下のほか、明治以降、弾よけの御守りとして削られたことで、現在のような姿に変わり果ててしまったという。



人物を描く私が、初めて生命以外の魂、“神” を具現化してみた。



                     ※God  of a standing stone 11‐Ⅰ  (ボールペン画)


おそらく古墳時代から永きにわたり、立石住民に禍福を与えてきたであろう彼のその髪は長く、  “神” のイメージ色のひとつである白色に輝きを放つその究極的な存在は、
弾よけとして削られ、河童の皿のような姿にされたことで、『もう好きにして』 と、
ヤケになってワインをかっくらう、静かな呑んだくれと化したか。


この “もののけ” と、一杯呑んでみたくなった。

                                   講師   平賀 太郎
                                                                                        

2013年3月9日土曜日

仲間との出会い

今日の担当は日笠です!
私はセツ・モードセミナーという絵の学校を卒業しました。
ファッションイラストレーション(スタイル画)で活躍した長沢節が創設された私塾のような学校です。
教室の皆様はご存知の方多いのではないでしょうか?
イラストレーターや俳優、ファッションデザイナーなど卒業生には様々なかたがいらっしゃいます。
そこでの、良い仲間との出会いの話。
私は入った同時23歳で、同期生に65歳の男性の方がいました。
もともとデザインの仕事をされていて退職後にセツに入学されました。
いつも足元にはコンバースのスニーカー、白いパンツ、白いシャツとの容姿に納得してしまいます。とにかくおしゃれ☆
始めて話した同期生がその方で、意気投合して、皆でスケッチに出かけたり、海外旅行に行ったり、その方を囲み同期生皆で仲を深めて行きました。
たまにお互いの絵を見せあってはディスカッションをしていました。
その方の意見はとにかくいつも辛口で、ズタボロに言われた時もありました。
お互いを馴れ合いにしないことが私たちの中での誓いでした。
悔しいから“良い絵を描いてやる!“と意気込んで描いてた記憶があります。
私にとってはライバルでした。(生意気ですが…)
実はその時の悔しさが私の絵を成長させてくれたと確信しています。
卒業して10年、交流は続いていましたが昨年その方はお亡くなりになりました。
現在私の部屋にはその方の遺作を飾っています。
作品を飾ることで"あの時の気持ち"が鮮明に甦り気持ちが引き締まります。
「良い絵出来ましたよ!」
返事のない問いかけに、
きっと
「まだまだだな。」
そう言われている気がします。
長くなってしまいましたが…
皆さんも素敵な出会いを(^^)










2013年3月8日金曜日

銀座校講師の原田です。

制作中に気持ちの高ぶる瞬間があります。

真っ白い画面に初めて線を描く瞬間。
色彩を着彩する瞬間。
完成した作品にサインを入れる瞬間。

いろいろありますが絵皿にチューブから色を出して並べる瞬間も僕は気持ちが高ぶります。
同系色を隣同士に並べて、色相環の順番に皿を並べると幸せな気持ちになります。
色が発するパワーを感じるからかもしれません。
着ている服や、空間の色によっても気分が変わります。
色は不思議な力を持っていますね。






2013年3月7日木曜日

宣伝の話①



ブログでのメリットといえばこれかなと思います。


アートフェア東京 2013 
会期 : 2013322日 〜 324
会場 : 東京国際フォーラム
ブース : E13
上記のフェアにBASE GALLERYより2点ほど出展予定です。
銀座校から近い会場で催されておりますので、ご高覧頂けますようご案内申し上げます。


ギャラリーのアドレス添付。



私は美大で油絵を専攻していましたが、今回の出展作品には水彩もあります。

水彩に関しては作風ができてきた頃から「自分の発色表現には合うだろうな」と感じていましたが、様々な難題があり実現できていませんでした。

個展が終了した2012年の夏、良い機会だと思い立ち水彩の研究をはじめてから年の瀬までに2点の作品が仕上がります。

それを見て久しぶりに「よし!」という心の充足を味わえました。在学中を含めると十年以上、作家活動の日々を送っていますが中々このような気持ちにはなれないもので、とても貴重な瞬間です。

それら作品が引き金となり、以来、水彩での制作を継続中。
勿論、フェアには新作が登場致します。


今回は馬場俊光が担当させて頂きました。



…本来ならここまでだったのですが、中田先生がまさかチャップリンを挙げてくるとは、、、。
有名どころだが「モダン・タイムス」「独裁者」を初めて見たときは衝撃でした

世界最高峰の喜劇役者チャップリン、私も大好きです。


話のついでですが「笑い」「喜劇と悲劇」に関して色々と思うところがあるので、そのうちに書きたいと考えています。

思いもかけなかったチャップリンに興奮して、触れずにはおれませんでした。


本当に終わり。


2013年3月6日水曜日

起爆剤


           土屋先生に続きまして今日は中田です。

 
  
 いきなりですが皆さんは落ち込んだとき、元気を出したいとき、どんなことをしますか?
 旅行?買物?歌う?寝る?  チャップリンを見る? 
 
           私は大体、起爆剤としてチャップリンを見るのです。
 
 そして真似してみたりするのです、何でもそうですがやってみるとすごさがわかりますね。(笑)

 さて、チャーリー・チャップリンとゆうといわずもがな
 バスターキートン、ハロルドロイドと並ぶ三大喜劇俳優の一人ですが、
 私はなんといってもチャップリンが大好きなのです!
 疲れきって抜け殻のようになった時によく見て力をいただきます。何とも言えないチャーミングな身振り に和まされます。

 チャップリンを見ていると何かを通してしっかり表現しきるという事、
 そういう事が持つパワーをものすごく感じます。
 マイム、芝居とゆう物を自在に扱って、手の動き一つにしても自分で決定し、見せてゆく。そういった事 の大事さ、すごさを我が身に置き換えて考えてしまいます。
  
      
      絵画でいうならば

 どんなテーマで、 どんな雰囲気で、 どんな色で  どんな形で  どんなタッチで 
 作り出してみたいのか、それを試行錯誤して選んでゆくわけですが、
 それがなかなか難しい!
    でもそれがまた、楽しいんですよね〜
 
 
 以前、ある会員さんとお話ししていて、子供の頃に自分が素直に興味を持っていたものにチャレンジして いると聞きました。人間の根源的なものに興味をもたれている様でした。

 何かを習いたい、それを使って表現したいという気持ちは放っておいても自然とでてくるとても人間的な 欲求なのだと最近よく思います。

   その気持ちに素直に、とにかく楽しみながら精進してゆきましょ〜!!


       次は馬場先生です。お楽しみに〜