2013年4月27日土曜日

博士の庭




植物学者の牧野富太郎博士という方が、亡くなるまで住んでいた 練馬区のお家と庭の跡が、庭園として解放されていて、天気のいい日などは ふらふら立ち寄ります。


ぐるりと歩くだけなら何分もかからないような 決して広いとはいえない庭を、博士は「私の植物園」と呼んでいたそうで、庭園として整備される前は ジャングルの如く木々が生い茂っていたとか。

きれいになった今でも、300種類もの植物が成育されているそうです。


お茶をのみながらゆっくりと庭を眺めて楽しむ…というよりは、あらゆる種類の草木を身近に置いておきたい!観察したい!という学者魂が垣間見えるようなこの場所は、確かに「庭」というよりも「植物園」だったのかもしれません。


ジャングルだった頃の様子も気になります・・・



今の時期は、何種類かのつつじと藤の花が咲いていました。


やえきりしま

のだふじ。木に巻き付いて咲く姿はジャングルの名残りか。左下にはもちつつじ。



花はもちろんのこと、この時期はきれいな色の若葉がにょきにょきと上に向かって伸びていく様子も楽しいです。





大きく育った葉っぱとは違って 、まだまだ小さく 触った感じもしっとりと柔らかいのに、なぜか力強く感じます。





博士の庭のお話、本日担当の吉澤でした。




















2013年4月26日金曜日

絵の題材


銀座校講師、南です。
教室までの通勤の時間、私はいつも本を読んでいます。
読み出すと頭の中で映像化され大概止まりません。

今読んでいる本のタイトルは『浅草の灯』。
大正末期から昭和初期頃の浅草を舞台に描かれた風俗小説です。
ご年配の方はご存知かもしれません。
1937年と1956年、1964年の三度、映画化されました。
1作目は主演が上原謙と高峰三枝子。3作目は二谷英昭、吉永小百合(!)。


実はこの小説、義曾祖父(ややこしい)が書いた小説とのこと。
先日、妻から「読んでみる?」と渡されました。
この時代にある種の憧れを抱いている私は早速その世界に入り込んでみることに。
当時の浅草六区を中心に凌雲閣、花屋敷、演劇小屋、私娼窟、酒場、的屋等、そして役者、コーラスガール、画家、文士、ペラゴロ、ヤクザ等々…舞台や登場人物に当時のアサクサ文化が色濃く出没していて、以前根津に住み、浅草辺りまでそぞろ歩いた私の脳内で活劇が始まるのでした。


さて。
絵の題材について。
お悩みの方も多いことでしょう。
私は本を読んでいて着想を得ることが多いです。
いつもアンテナを張り、日常から絵の栄養となるものを探していますが、様々な摂取の方法の中から今まで多くの恩恵を受けてきたのが、本の海を彷徨うこと。
文字は読み手によってイメージが千差万別に広がります。
そこから生まれたアイディア(種)を少しずつ育てていくのです。
読んだ本から思い浮かべた世界観に近い題材を探す、というのも一つの方法だと思います。


…今日もイメージの中を漂い、下りる駅を乗り過ごしてしまいました…。
ちなみに妻はこの小説があまり面白くなかった、と。
私は割と好きな世界なのだけれどな…。



浅草の灯
映画『浅草の灯』の1シーン
簡単に昔の映像が見られるなんて便利な時代になったものです

2013年4月25日木曜日

オディロン・ルドン

好きな画家の一人にルドンがいます。
先日新宿でルドン展が開催されていると知り、見に行きました。

私がルドンの作品を思い起こすときは色彩の豊かな後期の作品なのですが、彼は黒の画家としても数々の作品を残しています。
今回の展示では、その時代の作品が数多く展示されていました。

初期の自然に題材を求めた作品に始まり、夢想的な石版画やデッサンの数々。

目だけの生き物、動物の様な植物の様な生き物が出てきて、見ているうちに深い海の底を歩いているような不思議な気分になってきます。
そして、そんな気持ちにさせる一番の要素が深い黒の色だと感じました。
ただ真っ黒なわけではなく、ずぶずぶと入り込んでしまうような黒い色なのです。

このまま行くと本当に夢の世界に行ってしまいそうになった頃、ようやくそれらが終わり、色彩の世界が広がります。
先程と打って変わって、鮮やかな色の世界です。
青やら赤やら黄色やら。一見すると、バラバラになってしまいそうな色が、不思議と調和を持って画面に収まっています。
なぜなのだろうと思いながら見ていると、ここでも黒が登場していました。
沢山は使われていなくても、黒い色が程よく他の色をまとめているのです。

昔、絵を描き始めた頃、絵具箱に黒はいらないと教わりました。その頃のくせで、今でもあまり黒を使うことは無いのですが、ルドンのように効果的に使えば黒も立派な色なのだと改めて感じました。いつか、かっこよく黒を使いこなしてみたいものです。

本日の担当は福井でした。

損保ジャパン東郷青児美術館
オディロン・ルドン―夢の起源―

2013年4月24日水曜日

立石百景(葛飾立石)その3  〔倉井ストアー〕


前回のブログでは公衆トイレを紹介したが、吞んべえ達のトイレがもう1ヶ所あるらしい。
そのトイレの場所を書いてよいものか迷ったのだが、呑み仲間の冗談としておこう……
と思いつつも、臆病な私は、そのトイレを『Iト−Yカドー内のトイレ』と、ややフィルターをかける。




千住店につづき、2番目に古い立石店のIトーYカドーではあるが、千住店は店名が変わった為、Yカドーとしては最も古く、小さい。

立石店とは違い、隣り駅のYカドー四ツ木店は5階建てと規模は大きいものだが、
総資産9000億を越えるこの会社も、始めはこんなにも小さい平屋の小売店だったのかと思うと元気が出る。





さて、今回の主役は四ツ木のYカドー近くにある倉井ストアー。





元々は肉屋であったが、四ツ木のYカドーとの競争には勝てないという理由で、店舗の棚を半分撤去し、食堂として再スタートした。




店の出入り口が左右に2つあり、左の入口から入ると左側に冷蔵ケースがあり、その
すべてに清涼飲料水と缶ビール、酎ハイ系がずらりと並ぶ。

店舗の奥には全体の3分の1ほどを占める厨房と、総菜や肉(肉屋も兼ねている)
のショーケースがあり、ショーケースの上には弁当とつまみ、おかずがランチタイムから
ところ狭しと並ぶ。

店舗中央には、飲料ケースと向き合う形になる仕切りがわりの壁があり、仕切りの向こう側にイートインスペースを設けている。
もう片方の出入り口からでも入れるが、正しい入り方は左側入口から入り、酎ハイを選び、ショーケース上のつまみを選び、もしくは品書きから注文し、イートインへと逆Uの字で向かう。



肉質の良さ、肉屋ならではの揚げの技術が見事なつまみは、昭和風スパゲッティーナポリタンもおすすめだが、やはり揚げ物。選んだ、もしくは注文したつまみで、テーブルの上は、たちまち茶色い食品に支配される。









別売りのロックアイスを注文し、コップに缶アルコールを注ぎ、仕切りの壁に無理矢理
埋め込んだ地デジ非対応のTVを見ながら、あるいは周囲の客を観察しながら、古びた温もりの空間に癒されながら呑む酒は、値段の安さも助け、一日中居ても飽きがこない。






絵のネタを探すための独り遊びが好きだが、立石人間は嗅覚が優れているのか、
開店午前9:30から呑むと、誘っていないにもかかわらず、閉店午後8:30までには大勢の呑んべえ仲間が私の周りを囲むことになる残酷物語。
(私はその日を、倉井ストアーではなくCry storeの日と呼んでいる)



大勢で呑むと、当然飲み干した缶がピラミッドになるが、ひとつ大きな発見があった。



テーブルの短辺に缶が9本、長辺には12本それぞれぴったりに並び、それらを掛け算すると、9×12=108、、、煩悩の数になる。
テーブルは全部で7つあるが、すべて煩悩テーブルのサイズ。
一度は108缶並べてみたいものだ。




閉店後、仏顔の店主が、お経の癒しのかわりに一缶一缶、ひとつひとつ煩悩を片付けている姿を想いながら、その日は深海の如く、深く、静かに眠るのである。











※今回は添付用の絵が間に合わず失礼致しました。
 個展の際には登場します。                講師  平賀 太郎




2013年4月23日火曜日

大きな窓の教室

皆さんこんにちは!


このところの気温の変化についていけてない日笠です。


でも今日は、心地よい天気で気持も晴れます。


銀座教室は大きなガラス貼りの窓があり、銀座の数寄屋橋などを
見渡せます。
陽も差し込みなかなか気分がいいもんです。
























そんな教室で現在会員さんは、6月に開催される作品展制作に奮闘されています。






僕の最年長の学年は4年半にもなり、油彩で初挑戦される方、水彩の方、
パステルの方様々です。


自由制作ですので授業内で分からなかった、その人の新たな面を見れる瞬間が有り
指導している僕も楽しいです。




大きな窓のアトリエではもくもくと作品制作進行中です。



2013年4月22日月曜日

ルーベンス

銀座校の原田です。

ルーベンスといえばフランダースの犬。
主人公のネロ少年は、ルーベンスに憧れる絵を描くのが大好きな少年。
最期は愛犬パトラッシュと共に大聖堂のルーベンスの絵の前で召されてしまう。

幼少の頃に観たフランダースの犬によって、ルーベンスはとにかくすごい画家であるというのがすり込まれてしまった。

渋谷のBunkamuraで開催されたルーベンス展を観た。
目の前で劇を観ているかのように錯覚するダイナミックな構図。
もぎたてのフルーツのように瑞々しい生き生きとした人物描写。

グリザイユ(カマイユ)技法でモノクロの絵を仕上げた上に薄い固有色が何度も塗り重ねられている。
明るい色になるに従い絵具の量が多く、見事な立体感が出ている。
描き方に全く無駄がない。

ルーベンスは工房を作って弟子たちと共に絵を描いていたのだけれど、その時代の面白い木版画が展示されていた。
作品の制作のプロセスが分かるものだ。

1枚は弟子が描いたもの。
もう1枚はルーベンスによって修正箇所を指定されたもの。
そしてもう1枚は修正し、描きなおされたもの。

描きなおされたものは、あきらかに良くなっている。

弟子が描いたものは近景ばかりに暗さがあり、中・遠景と完全に分断されてしまっていた。
ルーベンスによる修正は、中・遠景にも暗さ、近景にもハイライトの明るさが加筆されていた。
その指導で仕上がったものは、主役にスポットがあたり、画面全体の明暗がリズミカルに連絡したものだった。

「さすがルーベンス先生!」弟子たちの声が聴こえてきそうだった。
工房で弟子たちはいつもこんな風に指導されながら傑作を作る手伝いをしていたんだなあとうらやましく思った。

ネロが憧れた通り、やっぱりルーベンスはすごい画家だった。




2013年4月21日日曜日

作業服の話



制作道具が必要になったとき、私の足の向かう先は画材屋ではなく、ホームセンターの資材売り場です。


ちょっぴり特殊なものを扱って制作するため数ヶ月に一度訪れるのですが、半年前に、画材を買うついでに、汚れた作業服を買い換えようと商品を吟味していました。

すると突然、横から活発な口調で「あんちゃん、このメーカーのツナギは耐久力あって現場でも長持ちするぞ」「こっちのやつは、すぐ穴が空いてどうしようもねえんだ」などと誰かが話しかけてきます。

声のする方を見ると、恐らく、土木建築業に携わっているであろう40代位の男がこちらに笑いかけながら、目当ての商品のサイズを選んでいました。


私はまさか作業服のことで声を掛けられるとは思いもしなかったので、面食らい「あ、そうなんですか、どうも」と間の抜けた返事をしました。

男は私の曖昧な受け答えを流し、さっさと商品を選び終えるなり「じゃ、仕事頑張れよ」と言ってスタスタと、人でごった返すレジの方へ消えてゆきます。

多分、同業者だと思い、親切心でアドバイスしてくれたのでしょう。


今、その作業服を着て制作していますが、汚れは落ちやすく、なかなかに丈夫です。
あの時のおっさんよ、ありがとう。



今回は馬場俊光が担当させて頂きました。


2013年4月20日土曜日

じんるい

こんにちは、中田です。

アトリエ作業停滞気味です(笑)。
作業のさなか、コーヒーを飲みながら去年読み終えた本を再度読み直しております。


本は『一万年の旅路』(ポーラ・アンダーウッド著)とゆう本。
ネイティブアメリカンのイロコイ族の口承伝です。
一万年前、アジアからベーリング海峡を渡りアメリカ大陸へ渡った一族の様子を伝え繋いだもので、とてもリアル〜。
よくある様な、ネイティブアメリカンを必要以上に神格化した様な本ではなく、
純粋に自分たちの足跡を知恵として後代に伝えてゆく為に伝えられてきた物なので、
同じ人類としてかなり親近感が湧きます!(笑)
試行錯誤を繰り返すバイソンの狩りの場面であるとか、
異種民族と出会い戸惑っちゃう場面とか。

人類の先輩の本、読みやすくて面白いですよ〜。ご興味ある方是非ご一読を。

ちなみに

国立科学博物館で「特別展 グレートジャーニー人類の旅」がいまやってますね。
武蔵野美術大学教授でもある探検家の関野吉晴さん監修の展示です。
個人的にはナインティナインの岡村さんがモデルになったアファール猿人が気になりますよ。

国立科学博物館 特別展 グレートジャーニー 人類の旅 この星に、生き残るための物語。
3月16日〜6月9日 

2013年4月19日金曜日

3331 アーツ千代田

こんにちは!
本日の担当は銀座校 土屋です。


私がよく訪れる場所のひとつに
3331アーツ千代田、という場所があります。
ここは旧中学校を改装したアートスペースでギャラリーやカフェ、オフィスなどが
教室だった場所をリノベーションして入っています。


2010年、春頃にオープンしたのですが
何度訪れたか数えきれません。






日比野克彦さんや大友克洋さんなどの展示や美術大学の卒業制作展、障害がある方の展示、子ども向けのワークショップやマルシェ、校舎の外に朝顔を育て、
冬になると種を皆で集めるイベント。。。などなど
ジャンルを問わず いろいろなイベントが行われています。
運動会などもあったような。お餅つきとかも!!
藤浩志さんのイベント
おもちゃの宝の山に大興奮!!
切り絵の富士山




行くと何かしら行われていたり
フリースペースで思いおもいに
時間を過ごせるので ついつい足がむいてしまいます。
廃材のケーブルで出来たプール

気持ちいいいいい〜クッション!!

みなさんもお近くにお寄りの際は
是非ぜひ 訪れてみてください。
懐かしい匂いのする校舎で
新しい発見、出逢いがあるかもしれませんよ。オススメの場所です!


あ、因みに3331の由来は
『江戸一本締め』だそうです。
ロゴマークも よーく観察してみてくださいね。









ご自由にお持ち帰りください
と、書いてありました。。。




わが銀座校 講師の坂田先生の作品も購入できます

2013年4月18日木曜日

上野国立博物館、応挙館・九条館へ

銀座校・田巻です。

四月初旬、上野国立博物館裏手の「九条館・応挙館」へ入る機会を頂きました。

習っている先生が茶会を催されたのです。

普段は入ることが出来ないのですが、
貴重な一般公開(春と秋のそれぞれ一月半ほど)とも重なっていたようです。
美術館から足を伸ばされたであろう方々も多くいらっしゃいました。

「九条館」は赤坂の九条家(元は京都)を移築したものだそう。
「応挙館」は、その名のとおり、円山応挙の水墨画襖絵が静かな室内に広がりを与えています

応挙の筆使い、カメラに収めたかったのですが…ご勘弁を。
ご興味のある方は、下記でご覧下さい。

【応挙館室内】

             九条館を外から眺めた所です。

            八重桜が満開でした。





2013年4月17日水曜日

趣味は工作

銀座校すずきです。

趣味は工作、という時期がありました。
子供たちに絵や工作を教えていた頃です。

子供たちにも作れるよう
身近な素材で
動いたり
変化したり
音を奏でたり
たくさんの色を使ったり。

ものづくりの原点に立ち戻りながら。


空気砲で泡(煙)をはく魚


土鈴魚の王様


ドールハウス


虹色のろうそく


にょろにょろヘビ(某土産品の仕掛け)


紙コップのメリーゴーランド ゆっくり回る!



3面絵本

そして、これが自分の中の最高傑作!
アトリエに大切に飾っています。
こんな絵がいつか描けますように…



サラサラ雨のしずくが落ちる

2013年4月16日火曜日

美術館舞台裏レポート

おはようございます銀座校下工垣です。
現在朝9時30分、六本木の新国立美術館に来ています。
今日はこれから、明日から始まる春陽展という展覧会の展示作業が始まります



    美術館の裏口。本日休館日なのでこちらから入ります。


私とアカデミー講師のすずき先生は今年度の展覧会実行委員なので
今日の展示が無事終わるのか
明日無事初日を迎えられるのか、落ちつかない気分でいる所です。



     絵がかかる前のひろーい展示室。


     大きな台車で次々と絵が運び込まれて来ます


私は展示前の会場が大好きです。
何もない空間が少しずつ動いて行く瞬間にワクワクします。



    展示会場奥にある休憩室

今年は休憩室を使って、「春陽会史料室」という展示もすることになっています。
すずき先生と私で展示を担当する予定になっているのですが
どんな展示になるのでしょうか・・・。ドキドキ。

今日1日頑張りたいと思います。

以上展示前の舞台裏レポートでした。



第90回記念春陽展
国立新美術館
4/17(水)~4/29(月)  /23(火)休館日
10:00~18:00
アカデミー講師、すずき、渡辺、下工垣が出品しています










2013年4月15日月曜日

美味しい物をたべて元気

制作や仕事で忙しい時はやっぱり美味しい食べ物とお酒と友人と過ごすのが一番
リフレッシュ出来ます。
先日は北千住の美味しいお店へ連れて行ってもらいました。



雲丹ととろサーモンの磯部巻
こんなおつまみならもちろん日本酒です。
楽しいひと時でした。

これで今週もがんばれます!

銀座校講師坂田でした。

2013年4月14日日曜日

5月開講クラス準備中です!


皆様 こんにちは!
小学館アカデミー絵画倶楽部事務局担当石川です。

今年は桜の開花が早くまた開花前後の天気も雨風が多かったので
結局お花見に行く事ができませんでした。 残念!

それでも自宅近くの公園に30分程度ベンチでおにぎりを食べながら桜見にいきました。

毎年の事ではありますが、桜見のころになりますと新しい会員さまの入会の準備で
講師・スタッフ一同あわただしい日々を送っております。

これも「絵を描く愉しみ」を多くの新しい会員さまに届けしてまいりたいと思っております。

どうぞ今後もよろしくお願いいたします。

2013年4月13日土曜日

浅草にある庭

こんにちは。
銀座・恵比寿校講師の工藤です。

浅草寺。
浅草にある有名なお寺で、皆さんも一度は訪れたことがあるのではないでしょうか。
雷門を抜け、仲見世通りに入るといつも大勢の人たちで賑わっています。



ただ、その脇には外の喧騒が嘘のような静寂に包まれた日本庭園があるのです。

伝法院庭園というその庭園は国の名勝にも指定されているようです。
普段は非公開なのですが、今の時期は特別公開をしていると知り、早速行ってきました。


回遊式の日本庭園でじっくりと庭の造形が堪能できます。
また、日常とは違った時間の流れを感じさせてくれるとても心地のいい空間です。

浅草を訪れる機会がある方はぜひ行ってみてください。
おすすめです。

http://www.senso-ji.jp/html/html/index.html
















2013年4月12日金曜日

魅力ある色々なもの



先月、私の好きな木瓜の花が咲きました。
毎年、この可憐な花を見るたびに

「もうちょっとイイ名前だったらねぇ。」と思ってしまいますが

これでも薔薇科の花なので 鋭い棘も ちゃんと生えてます。

のちのち名前が変わる事もあるのでしょうか。



さて、こちらは犬の散歩中に 出会った植物。

久々に見た白いタンポポ

子供の頃、見つけると大喜びで摘んだものです。
菜の花

こちらは、見るより先に

風に乗った匂いが届きました。

香りで脳内も 菜の花色に 染まった感じ。








       
      そして、神社の境内に立っている大木。

 私が生まれる前から立っているであろう木。

 いったい樹齢何年になるのかしら?

 ふと下から見上げてみると枝の動きが

 非常に面白い。

 思わぬところで 魅力あるフォルムに出会えた。

 こういった物を見ると自然のデザインには

 到底かなわないなと思います。





そして、もう一つ かなわないなと思わせる物が・・・
小学生の娘が図工の時間に作ったオブジェ「猫に小判」

お使いの途中で 頼まれた魚を食べてしまっている猫だそうです。

毎回、持ち帰って来る子供の作品を見て、素直に楽しむ気持ちがないと

良い作品は作れないなと反省です。


本日は、宇都宮講師 小栗が担当いたしました。





2013年4月11日木曜日

非日常の体験


私の兄は仕事の都合で家族と一緒にタイのバンコクに住んでいます。
私もかつては旅行で何度も訪れたタイですが、ここ10年くらいは訪れる
チャンスがなく、タイの経済成長を日本から見守ってきました。(大げさ・・・)

そんなタイに明日から両親が兄夫妻や孫に会いがてら旅行に行くそうで
うらやましい限りです。。。
 
現代ではスカイプ(無料のテレビ電話)やその他の無料の国際電話アプリなどもあり、
海外との距離もグっと近くなったような気もしますが、やはり実際に自分の目で
違う文化を見たり、埃っぽく湿気た空気感を感じたり、町の喧騒を感じたり、
本場の味覚を味わったり・・・と、五感を駆使して感じ取る’非日常の何か’は
デジタルでは獲得できないとても価値のある体験ではないかと思います。

作品展も近いですが、みなさんも各々素敵な旅行体験をお持ちだと思います。
そんな素敵な旅行体験を思い出してモチーフ選びをしてみるのもよいのでは
ないでしょうか?

本日は銀座校の植松が担当させていただきました。





2013年4月10日水曜日

幹の話

桜の剪定に遭遇して、一枝もらって帰ったのはもう ひと月以上も前のことだ。

 水に挿しておけば咲きますよ、と言われて、60㎝ほどのそれを花瓶に入れておいた。枝の曲がりは美しいけれど、見た目の地味な、褐色の枝は生けるより入れるが正しい。ぱらぱらと付いた蕾も同色で、目立たない。やがて室内の風景になじんでしまった。

 季節外れの暖かさとなった三月初め、細長い形だった蕾が突如としてむくむくと円くふくらみ、若草色になってきた時は心底感激した。えらいねえ、と声をかけて可愛がる。
 やがて蕾が萼と花とに分かれ白い花弁が見えてくると、一枝の存在感はいや増し、部屋でひかりを放つかのようになった。





本当に、咲いた!


 しばらくして気づいたのは、開いた花の色が見慣れた桜のそれよりも白い、ということだ。清楚な佇まいでかわいらしいけれど、赤みが無いのは何故だろう。
 思い出したのは、遠い昔に読んだ教科書の中の一文だ。




 大岡信さんが染織家志村ふくみさんの工房で美しい桜色の布に出会い、尋ねる。
 『この色は何から取り出したんですか』
『桜からです』
大岡さんは桜の花びらから取った色かと思う。しかし染織家は桜の皮から取ったのだと告げる。
「桜が咲く直前の山の桜の皮」からしか取れないと。




その文章に中学校の教室で接してから、ずいぶんになる。でも染織家という仕事もあるんだ、という発見とともに、桜は木全体で桜色を作っている、という驚きから強く印象に残っていた。

最近になって知ったことだが、桜に限らず、多様な木々が幹の内に桜の花びらのような色を持っているらしい。志村ふくみさんの著作によれば 、「殆どの樹液はうすもも色」で、「本質的に樹の色はもも色だ」という。



 固い蕾の内に幹から切り離されてしまった枝は、その「命のもも色」をもらえなかったのだろうか。ふしぎで深淵な、自然界のりくつ。

 いま、ひと仕事終えた桜の木は、休む間も無く緑の葉を繁らせ始めた。

銀座校講師 五十棲さやか
 参考文献 中学校『国語2』より大岡信「言葉の力」光村図書出版
       志村ふくみ著『母なる色』求龍堂
親桜の今年の勇姿