2014年4月10日木曜日

鳥の名は

春は鳥がよくさえずる。
中にとりたてて麗しい声で歌うものがある。ああなんという鳥だろう、名が知りたい、と思うのに、囀りを耳にしなくなると忘れてしまう。
東京にも野鳥と呼べる鳥は少なくないだろう。姿を見て、あるいは鳴き声を耳にして、あ、あれは某という鳥だよと言えたら良いのに。思いながらも、日常にとり紛れてそれきりになる。


鳥の名は誰がつけるのか。
名前とはそもそも記号のようなものだけれど、鳥の名は殊に響きも見た目も興深い。

雲雀(ひばり)
鶫(つぐみ)
黄鶲(きびたき)
茅潜(かやくぐり)

鳴き声や姿から、人は呼び名をつける。
土地が移れば、また別な呼び名があり、さらに研究する人々の間では学名というものがある。名付けのときめきが、かつては其処ここにあったのだ。



名前といえば、日本画の絵具の名の中にも鳥から頂いたらしいものがある。
鳩羽色、鶸色、朱鷺色。鳶色というのもある。
いちいち、ゆかしい。



昨春のこと、家の換気扇から鳥の羽音が聞こえた時は慌てた。まさか巣作りを?
自然は憧れであって、少しの距離をおいて眺めたい。あまりに近いと動揺する。
ある時、飛んで来た、と見えた刹那に近くの窓から顔を出したら、はっとした様子で 飛び去り、それきり来なかった。
小さいものをおどかしてしまった罪悪感と、安堵と。
つがいらしき二羽が欅の新緑に紛れて一瞬こちらを見た。朱色の嘴が目に残る。本で見ると椋鳥(むくどり)だったようである。



花が散り これからは緑の季節


今朝も小鳥たちのさえずりが聞こえる。
梢を見上げて、あれはオオルリ、あれはコガラ、と言ってみたりする。


銀座校講師 五十棲さやか

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