2013年5月29日水曜日

立石百景(葛飾立石)その4 〔 宙(そら)〕


7年前、私が京成立石に住み始めた初日に知り合った友人が、立石仲見世商店街に
飲み屋を出店して4年目になる。


3坪ほどの店の正面には入口のドアが無く、冬場は黒い布と透明ビニールで囲い、
夏はむき出しで、カウンターに5人、テーブルに3~4人座れるオープンカフェスタイル。
何度か閉店の片付けを手伝ったが、外に出すテーブルや椅子を、パズルゲーム、テトリスのように
見事に狭小スペースに納めてからシャッターを閉める技術に、毎度感心させられる。




針穴からでも世界は見える。


店はその場から動かないが、入れ代わり立ち代わり訪れる客たちには、それぞれドラマがあり、
その人々を観察しているだけで、毎日いても宇宙的にネタが切れない。
客層が、性別、年齢、職業の様々なこの店なら尚のこと。
そのような意味で、店名を、宙(そら)と名付けたのかは未確認だが。

左手ひょうたん製チョウチンの店、宙(そら)
※酔眼のため、ピンぼけ失礼
店というのは、単なる囲いの箱。外側へと無限大に広がるドラマが創られていく宙は、
画面を支配する絵にも似ている。


が、今回絵にするのは、店、客ではなく、様々な客を強力な引力で支配する、
女主人のMさん。


Mさんには面白いエピソードが山ほどあり、人となりを紹介するときりが無いので、
ここでは、どうしてもやめてもらいたい癖を書かせてもらう。

割もののアルコールは濃く作らないでもらいたい。
ウーロンハイのウーロンが、1㎝しか入る容量が残されていないではないか。
茶色ではなく、無色透明ではないか。
「薄くしてほしい」と言っても、本人は笑いながらドボドボとアルコールを注ぐ…
ので、端から次々に客が倒れてゆく。もしくは避難をする。




エスキース(1段階目)

もっとも、アルコールが強い分、客たちの持つドラマがむき出しとなって、
また一枚、絵になりそうなスケッチが描けるのだけど。


                        講師   平賀 太郎






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