2013年4月5日金曜日

立石百景(葛飾立石)その2  〔公衆トイレ〕


先日、牛舌カレーの旨い赤提灯で、「花好きに“悪い人”はいない」
と言う酔っぱらいのつぶやきを耳にした私は、無頼にはほど遠いはずなのに、
さっそく立石価格の安い菜の花を大量に買い込んでしまった。

まだつぼみのそれは味噌汁の具。
水差しに生けた菜の花は3日も経つと花が咲き、台所が花畑になるが、
宮本武蔵の『人は花に住むべし』という書を思い出しながら、
「花を食むなんて、粋じゃない?」と、生徒さんから頂いた手作り味噌の汁を楽しむ毎日。

さて、『花を摘む』という隠語があるが、本日は花の話ではなく、トイレの紹介。




立石は呑兵衛が多いせいか、駅を中心に半径50メートル以内に公衆トイレが4ヶ所ある。



呑兵衛の聖地と言えど、立石のトイレ=山谷ブルース的な廃退のイメージを抱く人間も
少なくない。
が、18世紀フランス宮廷から生まれた美術様式ではないが、
ポンパドール夫人の美意識にも似た、曲線を多用するロココ調さながらの
柄をあしらったタイルは、“立石戦車”(画面中央、鉄製移動式見張小屋)
を操縦する商店会の使用人により、見事に浄化され、
私の故郷の老舗、宮ノ下富士屋ホテルのトイレのように美しい。
…と言ってはみたものの、ロココを下品に感じる私は、
各便器にひとつずつついている紅茶家伝の缶灰皿を上品に感じてしまう。


絵を描き終えて思ったが、トイレ、便器をモチーフにする美術家は、
マルセルデュシャン(1887~1968)と私だけであってほしい…

  T‐N商店街08 Ⅰ
           ※ロココのかわりに矢印の導線を引く


 
                               
 
                                            
 
 

                                                                              
『人は花に住むべし』   トイレも楽園だったりする。
                                        講師  平賀 太郎












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