銀座校の原田です。
ルーベンスといえばフランダースの犬。
主人公のネロ少年は、ルーベンスに憧れる絵を描くのが大好きな少年。
最期は愛犬パトラッシュと共に大聖堂のルーベンスの絵の前で召されてしまう。
幼少の頃に観たフランダースの犬によって、ルーベンスはとにかくすごい画家であるというのがすり込まれてしまった。
渋谷のBunkamuraで開催されたルーベンス展を観た。
目の前で劇を観ているかのように錯覚するダイナミックな構図。
もぎたてのフルーツのように瑞々しい生き生きとした人物描写。
グリザイユ(カマイユ)技法でモノクロの絵を仕上げた上に薄い固有色が何度も塗り重ねられている。
明るい色になるに従い絵具の量が多く、見事な立体感が出ている。
描き方に全く無駄がない。
ルーベンスは工房を作って弟子たちと共に絵を描いていたのだけれど、その時代の面白い木版画が展示されていた。
作品の制作のプロセスが分かるものだ。
1枚は弟子が描いたもの。
もう1枚はルーベンスによって修正箇所を指定されたもの。
そしてもう1枚は修正し、描きなおされたもの。
描きなおされたものは、あきらかに良くなっている。
弟子が描いたものは近景ばかりに暗さがあり、中・遠景と完全に分断されてしまっていた。
ルーベンスによる修正は、中・遠景にも暗さ、近景にもハイライトの明るさが加筆されていた。
その指導で仕上がったものは、主役にスポットがあたり、画面全体の明暗がリズミカルに連絡したものだった。
「さすがルーベンス先生!」弟子たちの声が聴こえてきそうだった。
工房で弟子たちはいつもこんな風に指導されながら傑作を作る手伝いをしていたんだなあとうらやましく思った。
ネロが憧れた通り、やっぱりルーベンスはすごい画家だった。
0 件のコメント:
コメントを投稿
注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。