ルオーがあんなに写実的な絵が上手いなんて知らなかった。
先日パナソニック汐留ミュージアムの「モローとルオー 聖なるものの継承と変容」展を観た。
ルオーというとこんな感じのキリストやピエロの絵が思い浮かぶ。
パレットで捏ねた絵具をぐちゃっと画面になすりつけたような、こどもが遊んで描いているみたいなスタイル。
でも若い頃はギュスターブ・モローのもとで緻密でデリケートな写実的な絵を描いていたことをこの展覧会で知った。
ギュスターブ・モローはフランスの国立美術学校の教授(日本でいうと芸大の先生か)で、生徒としてマティスやマルケ、ルオーたちがいた。
生徒たちからも人気があるいい先生だったというのは有名。
ルオーは中でも随分かわいがられたらしい。
「石臼をまわすサムソン」はモローの指導を受けたルオーがローマ賞(受賞するとローマに行ける)に出品するために描いたもの。
残念ながら受賞を逃すが、モローはそれを模写している。
弟子が師の作品を模写するのはあたりまえだけど、師が弟子の作品を描くなんて。
その行動に生徒から慕われたモロー像を見た気がする。
それにしてもルオー。
初期のスタイルからキリストやピエロへの変容は、卵の殻の上を歩くような演奏だと例えられたマイルス•デイヴィスが、電気楽器を使用して破壊的なスタイルに変貌していったのと同じく、激しい。
同時代の印象派に対してのモローの神話スタイルも異様だが、ルオーもずいぶん独特だ。だからこそ美術の歴史に組み込まれる巨匠になったと言えるが。
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